損失が出た時の繰り越し控除とは?
損失の繰越控除とは、1年の損失を損益通算など行ったとしても控除しきれないときに、翌年以降にその損失の繰り越しを行い、翌年以降の利益から控除することができる制度を繰り越し控除といいます。上場株式等の譲渡により発生した損失に関しては、「上場株式等の譲渡損失の繰越控除」として、損失を出した年の翌年以降最長3年間繰越しをすることが出来ます。翌年以降の上場株式等の譲渡で発生した利益から控除することが出来ます。また、「上場株式等の配当所得」との損益通算も可能となっています。平成28年からは、公社債等の譲渡・償還により発生してしまった損失に関しても、翌年以降最長3年間繰り越すことが出来るようになっています。
この繰越控除の制度を利用するためには、確定申告を行わなければいけません。上場株式の譲渡により発生した損失に関しては、繰り越し控除を行う事が出来ますが、非上場株式の譲渡により発生した損失に関しては、繰り越し控除を行う事は出来ません。
損益通算や繰り越し控除を行うには確定申告
確定申告とは、個人事業主などが1月1日~12月31日までの1年間の会計結果を「確定」し、翌年の2月16日~3月15日の間に国へ申告することを確定申告といいます。
個人事業主の確定申告の場合、白色申告と青色申告の2種類があります。白色申告とはいわゆる普通の確定申告のことをいいます。一方青色申告は、事前に届け出を行った上で申告を行わなければならず、この事前申告がない場合は自動的に他の条件を満たしていたとしても白色申告になってしまいます。
青色申告の場合、帳簿付けするにあたり複式簿記を行うことで、最大65万控除できる節税効果があります。青色申告で単式簿記で帳簿付けを行った場合は、控除額が10万円になってしまいます。節税効果はありますが、青色申告を行う際は複式簿記で帳簿付けを行いましょう。
青色申告を行う場合、「青色申告決算書」を作らなければいけません。白色申告の場合は「収支内訳書」になります。
青色申告のメリット
①赤字を3年間繰り越して収入と相殺できる。
②貸倒し引当金を利用できる。
③減価償却を1年で300万円まで一括計上できる。
④家族従業員のお給料を経費にできる
⑤家事按分を利用できる
青色申告のデメリット
青色申告を行うにあたり、現在デメリットと言えるものはほとんどありません。唯一のデメリットと言われていた「手間」ですが、現在ではほとんどなくなっています。
事前に申告を行わなければいけないのは変わりませんが、複式簿記で記帳を行わなければいけない部分に関して、以前は専門的な知識を必要としていましたが、会計ソフトの登場によりこの部分の手間がかなり軽減されています。この青色申告は条件さえ満たせばメリットがかなりある制度ですので、損益通算や繰越控除と共に上手に活用しましょう。