2018/03/16 最終更新日:2019/11/13

一時所得ってなに?損益通算できるの?

一時所得とは?

一時所得とは、事業所得などのように継続や反復的行為から生じる所得ではなく、給与所得や退職金などのような労務に対する所得でもなく、何かしらの報酬や手数料といった役務の対価としての報酬でもありません。
株や不動産などの資産を譲渡することで生じる対価も一時所得には含まれない様です。
利子所得や不動産所得、事業所得、配当所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得以外の所得で、一時的な所得という事になります。
雑所得に関しても労務や役務の対価としての報酬、もしくは資産の譲渡による対価としての性質があるため、一時所得には含まれない様です。

 

一時所得の計算方法

総収入金額-その収入を得るために支出した金額-特別控除額
主な一時所得
・懸賞の賞金
・福引の当選金
・競馬・競輪の払戻金
・生命保険契約・損害保険契約に基づく一時金
・死亡後3年を経過した後に支給が確定した退職手当金
その収入を得るために支出した金額の注意点
一時所得の計算方法で「その収入を得るために支出した金額」というものがありますが、これには注意しなければいけないポイントがあります。
競馬を例に解説したいと思います。
1
2 10000円
1
3 10000円
1
4 10000円
という馬券を購入したとします。
レースが終わり、1
3が的中しました。
この場合の「その収入を得るために支出した金額」はいくらになるでしょう?
このレースに投じた金額は30000円です。しかし、「その収入を得るために支出した金額」は的中した1
3に投じた10000円になります。このレースには確かに30000円投じてはいますが、10000円のみが「その収入を得るために支出した金額」になるのです。しかし最高裁の判決で、はずれ馬券が必要経費として認められたケースも存在します。
ただしこのケースは馬券購入にあたり、自動馬券購入ソフトを使用し、継続的な購入を行っていたこともあり一時所得ではなく、雑所得に区分されたという経緯があります。
これは例外的にはずれ馬券が経費として認められたケースであり、一般的には、はずれ馬券は経費としては認められません。この判決の事例と、一般的な馬券購入者と混同しないように気を付けましょう。

 

一時所得の特別控除額の使い方

生命保険契約の一時金を例に解説していきます。
A保険から一時金で200万円を受け取ったとします。
B保険に関しては途中解約をしたため50万円の損失が出てしまいました。
この2つが同じ年に起こったとした場合、特別控除額は、A保険から受け取った200万円-B保険の損失50万円=150万円から、特別控除額を50万円を限度として差し引くことが出来ます。
一時所得内でA保険の200万円といった儲けから、B保険50万円の損失を差し引くことを「内部通算」といいます。
例えば損失額が儲けの金額を上回ってしまった場合は一時所得金額はマイナスになってしまいますが、このマイナスの一時所得を他の所得から差し引くことは出来ません。
こういった所得の区分を超えて差し引きなどを行い処理することを「損益通算」といいますが、一時所得に関しては損益通算できないことになっています。

 

損益通算とは?

損益通算とは、複数の所得がある場合などにおいて利益があった所得と損失のあった所得を、決まった順序に従い差し引き処理を行い、所得を少なくすることが出来る制度です。所得を少なく申告できるので所得税などの金額を減らすことが出来る、節税効果の高い制度です。
主な損益通算が出来る所得
・不動産所得
・事業所得
・譲渡所得
・山林所得
主な損益通算出来ない所得
・配当所得
・一時所得
・雑所得

 

損益通算を行う上での注意点

損益通算を行う上で注意しなければいけないポイントがいくつかあります。
以下のような場合は、損益通算できない損失があるので覚えておきましょう。
①不動産所得の計算上生じた損失のうち、土地等の取得に係る借入金利子部分
②個人に対して資産を低額で譲渡したことにより生じた損失
③競走馬、別荘、書画、ゴルフ会員権、骨とう品など生活に通常必要でない資産の譲渡により生じた損失
④非課税所得の金額の計算上生じた損失
⑤分離課税の対象となる譲渡所得の計算上生じた損失
⑥株式等の譲渡により生じた損失

 

損益通算を行っても控除しきれない場合

損益通算を行っても控除しきれない損失がある場合は、翌年以降に3年間繰り越し控除が出来ます。
この繰り越し控除には条件があり、この要件を満たす必要があります。
その条件とは、損失が生じた年分の青色申告書を提出期限内に提出していることと、損失が生じた翌年以後も引き続き確定申告書を提出していることです。
開業をしたばかりの個人事業主の方などは、この制度のメリット受けられる可能性が高いため、きちんと理解しておいて損はないでしょう。
この制度はいかなる方も節税に繋がる可能性があるので利用するに越したことはありません。
わからない場合は、専門家などに相談してみましょう。

 

 

 

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