損益通算とは?
損益通算とは、一定期間の利益と損失を相殺することが出来るというものです。
株式などの投資を行い売買による譲渡益や配当金など、利益を得た場合税金が掛かります。一方で株式取引などで損失が出てしまった場合、それまで得られた利益から損失分を差し引くことが出来ます。
差し引かれた損失分だけ利益が減り税金が安くなります。
これが、損益通算です。損失分を差し引いて、マイナスになった場合確定申告を行う事で、最長3年間損失を繰り越して控除することが出来ます。
不動産所得の損益通算
不動産運営を行い利益が出ず赤字だった場合、その赤字を他の所得があれば赤字分差し引くことが出来ます。
例えば会社員の方などで、副業で不動産運営を行っている場合など、給与所得と不動産所得が存在します。給与所得が赤字になってしまう事はありませんが、不動産所得はその運営状況によっては利益が出ず赤字になってしまう事もあります。
そういった場合、不動産所得の赤字が100万円だとしたら、その100万円を給与所得から差し引くことが出来ます。
差し引かれた給与に税金が課せられるので、節税になります。
損益通算できない不動産の赤字
不動産運営を行い利益が出ず赤字になってしまった場合でも、全ての赤字が損益通算出来るわけではありません。
下記のケースの赤字は損益通算できません。
・生活に必ず必要というわけではない別荘のような不動産資産の貸付けで発生した赤字
・土地等を取得するために金融機関から融資を受けた際の、利子に相当する部分の金額で一定のもの
・個人で不動産投資を行う場合は関係ないのですが、一定の組合契約に基づいて営まれる事業から生じたものでその組合の特定組合員に係るものは損益通算が出来ません
*金融機関などから融資を受けて不動産を購入した場合、その支払い利息は建物部分に関しる支払利息と土地の部分に関する支払利息に分けることが出来ます。
この土地の部分に関する支払利息の一定額が認められず、損益通算が出来ません。
不動産所得の損益通算計算方法
①不動産所得を計算する
家賃などの賃貸収入から支払利息などを含む必要経費を差し引いて不動産所得を計算します。
②土地の取得部分の利息を計算する
賃貸収入から必要経費などを差し引き不動産所得が赤字になった場合、経費として計上した金融機関から融資を受けたローンの支払利息のうち、土地取得に関わる一定の金額は認められないことになります。
その結果土地部分の利息が、赤字額よりも小さかった場合は、土地の利息部分の赤字は全額赤字として認められません。
不動産投資における節税の仕組み
①他の投資より節税効果が高い
他の一般的な投資とは異なり、不動産投資は他の投資とは異なる節税方法が可能なようです。不動産投資で得られる所得が他の投資とは異なるという事が関係しています。
所得税の課税方法には総合課税と分離課税の2つがあるのですが、投資と聞いて皆さんが真っ先にイメージするであろう株やFXなどの場合、そこから得られた利益は分離課税という方法で課税されます。
この分離課税は利益そのものに課税されてしまうので、仕組み上節税がしにくいという特徴があります。
分離課税とはそもそも、他の所得とは切り離して課税するという方法のため、株やFXで損失が出てしまったとしても、その損失分を他の所得の利益から差し引くことが出来ません。
それに対し、不動産投資から得られる家賃収入は、利益が出ず赤字になってしまった場合、他の所得の利益との損益通算をすることが出来ます。
会社員の方や公務員の方など給与所得を得ている場合、不動産所得を合算した最終的な所得に課税されることになるのです。
このように不動産投資は、他の投資案件に比べて節税効果が高い投資になります。
②様々な経費を計上できる
給与所得は給与所得控除という形で経費計上されます。
給与所得控除として経費計上する金上限があり、一定額以上は節税しにくい仕組みになっています。不動産所得は不動産投資に関連する経費であれば、全て経費として計上することが可能になっています。
この経費には不動産関連の書籍の購入や、物件などを見学に行く交通費も経費として認められています。
これらの必要経費は個人で不動産投資を行うのではなく、法人化することでさらに経費として認められやすくなるという特徴もあります。
不動産所得が赤字で、黒字である給与所得などと損益通算をすれば、結果的に所得税や住民税などを節税することが可能になります。不動産などの建物や車など時間の経過によってその価値が目減りしていく資産で減価償却資産と呼ばれています。
不動産投資などの場合、建物やその建物の付帯設備などが減価償却資産となります。
不動産の中でも土地に関しては、時間の経過などにより劣化などせず価値が減らないので減価償却は出来ないことになっています。
減価償却費は、建物の購入費用を購入時に一括で経費にするのではなく、法律で決められた耐用年数の期間に振り分けて計上することが出来ます。
このため毎年一定額を現金の支出を伴わず、経費として計上ができます。
ただし、節税効果を得るために必要な減価償却費を経費として計上できるのは、法定耐用年数の期間となっています。耐用年数を過ぎると減価償却費を計上できなくなります。