サラリーマンが不動産投資を行うことで、税金が安くなるというイメージが定着しています。不動産に投資・運営しているサラリーマンで、実際のところ納める税金が本当に安くなっているのかということを考えながら運営している人は、少ないのではないでしょうか。今回は、不動産投資と節税の関係性を紐解きながら、不動産投資家のサラリーマンが節税で注目する点をみていきましょう。
■何がどうなって節税に?
不動産投資を行う場合、出ていく資金を抑え利益を上げることも重要ですが、節税効果も無視することはできません。サラリーマン投資家が不動産運営を上手に行うと、所得税・住民税の税金を節税することができます。
これは、所得の20%から30%にも及ぶ税金を納めているサラリーマンにとっては、うれしい話ですが、どのような仕組みで節税できるのかが気になるところでもあります。
日本では所得税は累進課税となっていて、課税所得が増えるにしたがい高い税率が適応される方式がとられているため、収入が大きくなればなるほど納める税金も多くなるということはご存知でしょう。
そこで、不動産運営していく中で損失を出し、給与所得から相殺する方法の損益通算で節税をするのです。
例えば、課税対象となる給与所得が600万円の方で不動産の所得が100万円あったとします。そうなると、所得税の課税対象額は合計で700万円となります。700万円の所得税率は23%です。
しかし、不動産所得がマイナス100万円だった場合、600万円の給与所得から100万円を差し引いた500万円に税率が課せられますので、20%の税率ということになります。
このように、損益通算を利用し、不動産所得をマイナス計上することにより、節税をすることができるのです。
■節税には減価償却費
不動産所得をマイナスにするということは赤字経営ではないか。ということになると、不動産投資をした意味がなくなってしまいます。そこで家賃収入はあるが、経費を実際に現金で支出するのではなく、帳簿上、経費として増やす方法として減価償却費を使用するのです。
減価償却費とは、建物が古くなって劣化するとともに評価額を下げる(償却する)ことを意味しています。つまり、投資した建物や設備の価格を法定耐用年数で按分して、毎年計上していける経費のことになります。ただし、ここで気を付けていただきたいのは、土地は劣化しないので償却することができず、償却するのは建物と設備だけとなります。
例えば、わかりやすい設定でいうと、法定耐用年数47年のRCマンションを建物価格4700万円で購入した場合、1年の減価償却費として計上できる金額は100万円ということになります。見てわかるように、実際に現金100万円が手元から出た訳ではないのですが、帳簿上100万円が計上できるのです。
■まとめ
前記したように、不動産所得をマイナスにするには家賃収入を上回る経費が必要となります。投資を始めてばかりの年は、登録費用や火災保険などの支払いがあるため、経費として計上できる金額は大きくなります。しかし、2年目以降からは減価償却が重要となってきますので、面倒でもしっかりと計算していきましょう。