「ROI」という言葉は、これから投資を始めようという方には、聞きなれない言葉かもしれませんが、不動産投資がうまくいっているか否かの判断をするうえで、重要な指標となることから、ROIについて意識しなくてはいけません。不動産投資は投資額も大きくなりやすいことから、しっかりと勉強をして仕組みを理解したうえで始めましょう。
■そもそもROIとは
ROIとは「Return On Investment」の略称で、投資した資本に対して得られた利益のことを指し、日本語では「投資利益率」という意味になります。ROIは、あらゆる投資に用いることができ、企業が利益をどれだけ生んでいるのか確認できる指標でもあります。
ROIの計算式は
ROI=1年の収益(年間の賃料収入-ローン返済額ー経費) ÷ 自己投資額 × 100
言い換えると、購入時に支払った自己資金に対して、1年あたり何%のキャッシュフロー(手取り)があるかともいえます。
■不動産投資におけるROIの高さ
ROIが高いことが必ずしも良いということではありません。ROIが高くなる傾向として、自己資金は少額投資をし、融資額を多く利用している可能性が高いのです。その場合ですと、返済分が大きくなることで毎月の家賃収入から差し引いたローンの返済額の差額が少なくなってしまうことや、金利変動の影響をうけるなど不動産経営に影響がでます。
ROIが高いというだけで投資判断をすることはむしろ危険で、出口物件の選定をする際には個別に物件の精査を行うことをお勧めします。
■ROIを活用するメリットとデメリット
ROIの活用は、正確性の高い不動産投資のシミュレーションが見込めます。キャッシュフロー(手取り)からROIを算出するため、表面利回りのような目安よりも判断材料として活用することで精確な数値がもとめられます。
しかし、良いことだけではなく、家賃収入の変動や金利変動などの不動産投資リスクを織り込むことができないので、確実な数値を引き出すのは難しいという点があります。
実質利回りなどを計算している方はご存知かと思いますが、家賃が年々下がっていくかもしれませんし、空室率なども考慮する必要があります。また、ローンの金利も変動で大きく上下する可能性があります。先述した計算式からもわかると思いますが、リスクに対する数字は入れていませんので、あくまでも利益率の目安として算出する計算式として考えた方が良いでしょう。
■まとめ
不動産投資利益率(ROI)を算出するためには、投資をして1年経過しなければはっきりした数字は出せません。またROIは不動産投資における効率を示すものであり、物件の価値を示すものではありません。出口物件を選定するためには、あらゆる指標を参考にしていく必要があるでしょう。